今月の顔は……
「兀顔光」(こつがんこう)
遼国有数の貴族にして大将軍。黄頭室韋の族長でもあります。
彼は金髪に碧眼、容貌魁偉の偉丈夫ですが、
契丹族は後にモンゴル族となる民族の源流のひとつですので、黒髪のはずでは?
みなさん不思議に思われるのではないでしょうか。
北極を中心に描いた地図を見れば分かるように、
やがてモンゴル国となる大草原は、
北はロシアに接し、西はヨーロッパにまで通じています。
水滸伝の時代にも、この地域には契丹、女真以外にも、
たくさんの民族が暮らしていました。
各民族間の交流もさかんだったでしょう。
そう考えれば、遼国の大将軍が金髪碧眼の人でもおかしくないのかもしれません。
名前は「ウーイェン・グァン」と発音しますが、これはちょっと漢風ですね。
漢化が進んでいた遼国では、実は漢風の姓や名も多く見られます。
ただ兀顔という姓は「遼史」にも見当たりませんので、水滸伝作者の創作のように思われます。