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カテゴリ:Suiko108 うらばなし( 14 )

2009年 07月 07日
「七夕」
今日は新暦の七夕です。旧暦ではまだ五月中旬なので、梅雨と重なり、なかなか星空が見られないのが残念ですね。
水滸伝の舞台である宋代にも、「七夕」の風習がありました。
綺麗な子供の人形を飾ったり、蝋で作った動物を水に浮かべたり、箱庭を作ったり、蓮の花を買ったり──と、今の日本の七夕とは少し違います。
似ているのは、庭に五彩の棚を作り、そこに季節の供え物や、筆硯、裁縫道具などを飾る風習でしょうか。これは、日本の子供たちが、笹に色紙を飾りつけ、願い事を書いた短冊を吊るすのに通じるものがあります。
筆や硯は男の子たちが詩文の上達を願って、裁縫道具は女の子たちが手芸の上達を願って飾るものだからです。この風習を「乞巧」といいます。
特に女の子は小箱の中に蜘蛛を入れておき、翌日、きれいに巣を作っているかどうかで、裁縫が上達するかどうかを占いました。

水滸伝の印象的なヒロインの一人、“病関索”楊雄の妻であった潘巧雲は、七夕の生まれです。そのために、名前に「巧」の字が付けられたというわけです。しかし、彼女が得意としたのは裁縫ではなく……。
中国では、古来「雲雨」といえば、男女の交わりを暗喩します。ですので、「巧雲」という名前は、たとえば彼女が妓女であったとしても、かなり露骨な名前だといえるでしょう(原典の巧雲は肉屋の娘だし、父親も常識人なのですが……)。

もう一人のヒロインである潘金蓮の「金蓮」も、纏足の雅称なので、かなりセクシャルな名前です。姓が同じ潘というのは、偶然でしょうか。
もし水滸伝をまとめ、彼女たちに名前を与えた作者が同一人物であったとしたら、潘という姓の美女に、なにか特別の思い入れがあったのかもしれませんね。

by suiko108blog | 2009-07-07 01:32 | Suiko108 うらばなし | Comments(0)
2009年 05月 02日
★イスラムと馬と犬
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『絵巻水滸伝』に登場する金髪碧眼の段景住は、西域の砂漠を越えて宋国へやってきた胡人です。胡人とは、えびす──漢人とは異なる民族のことを呼びます。彼は回回、イスラム教徒でもあります。宋にも大勢のイスラム商人がいましたが、現在の中国にもたくさんのイスラム教徒が住んでいます。回族と呼ばれる少数民族(外見 は殆ど漢民族と変わりませんが、西安などでは男性は白い帽子をかぶっていることが多いです)、新疆ウイグル自治区周辺に住むウイグル族などです。
 イスラムの人々は、豚肉を食べない、酒を飲まない、一日に五度メッカに向かって礼拝するなど厳しい戒律を守って暮らしています。
 段景住が何族なのかは限定されていませんが、草原に生きる遊牧民には違いありません。そのため、彼は馬を愛し、馬と心を通わせることのできる不思議な力を持っているのです。
 現在の新疆にも、多くの遊牧民と、その末裔が暮らしています。かつて、森下が新疆でカザフ族のユルト(フェルトで作る移動式のテント)を訪れた時のことです。美しい天池のほとりで、精悍なカザフの若者に尋ねられました。
「君の家には、馬が何頭いるんだ?」
 それは何気ない雑談の中で、当然のように尋ねられた質問です。“家族は何人?”“車は何台あるの?”そんな感じでしょうか。
 カザフ族も代々の遊牧の民です。彼らの暮らしの中では、それほど馬が重要な、そして当たり前の位置を占めているのです。
 なお、段景住は天地のほとりで天馬を見たと語りましたが、新疆ウイグル自治区には、天池と呼ばれる美しい湖がたくさんあります。山の上にある湖は、みな“天池”と呼ばれるそうです。澄みきった冷たい水が山々を映し、それはほんとうに美しい風景です。
 余談ながら……イスラム社会では、犬は汚れた生き物とされています。回回でありながら“犬”のあだ名をつけられた段景住は、故郷でなにか罪を犯し、神に救いを求めて天池のほとりで祈っていたのかれしれませんね。

by suiko108blog | 2009-05-02 01:28 | Suiko108 うらばなし | Comments(0)
2009年 04月 10日
「時遷のネズ公」
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絵巻水滸伝には強面の豪傑たちが次々と登場し、縦横無尽に活躍しますが、彼らが連れている可愛い動物たちも負けてはいません。中でも、最も出番が多く、なおかつ好漢顔負けの大活躍をしているのが、“鼓上蚤”時遷の連れている子鼠──“ネズ公”でしょう。
このネズ公のモデルも、森下家のねずみ。正体はジャンガリアン・ハムスターです。縁日で買われて来た、やぶれ耳のネズ公は、おっとりとした、おとなしい性格でした。夕飯時になると小屋から出てきて立ち上がり、じっと何かおいしいものが貰えるのを待っていたものです。そして、ある寒い日、やはり静かに、眠ったまま冷た くなっていました。
もう何年も前のことですが、今も本の中で元気で可愛い姿が見られるのは、本当に嬉しいですね。

by suiko108blog | 2009-04-10 01:47 | Suiko108 うらばなし | Comments(4)
2009年 04月 09日
飛奴
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“智多星”呉用は、仲間との連絡にしばしば白い鳩を使います。映画『レッドクリフ』でも、金城武さん演じる諸葛孔明が白鴿を飼っていますが、中国史上で最初に伝書鳩を使った記述は、唐代の宰相・張九齢に関するものだと云われています。
張九齢は玄宗時代の宰相で、詩人でもあり、硬骨の人でした。彼は若い頃、家にたくさんの鳩を飼っており、これを「飛奴」と呼んで、足に手紙を結びつけて友人たちと書簡のやりとりをしていたそうです。
鳩は地球の磁場を感じて位置を知るそうです。呉用が使う「飛奴」は、梁山泊にある晁蓋の四阿“慕天亭”に戻ってくるように仕込まれています。

by suiko108blog | 2009-04-09 02:55 | Suiko108 うらばなし | Comments(2)