
「わしにいとまごいして、どこへいくというのだ」廬俊義の問いに燕青は答えます。
「やはりあなたさまのおそばに」
燕青はいずこともなく去ってゆきました。旅立ちの朝、草原にひとり、燕青は風に向かって立っています。見つめるその向こうに、いったい何があるのでしょうか。
遠くで雁がなきました。
『
絵巻水滸伝(第8巻)』より『浪子 燕青(ろうし えんせい)』
絵と文★正子公也
*『絵詞』は1996年に描いた水滸伝人物画約20点に添えられた、正子公也の文章を当時のまま、掲載しました。(初出;光栄刊「水滸伝」好漢ファイル)