東渓村(とうけいそん)の名主・晁蓋に、生辰綱(せいしんこう)掠奪計画を打ち明けられた呉用は、しばし沈思し、やがて静かに答えます。
「おやんなさい。智恵も貸しましょう」
白皙痩身(はくせきそうしん)、書は万巻に通ず。智恵多き星、“今孔明”の称あり。孔明が劉備に、張良が劉邦に身を託したように、呉用は晁蓋にその理想を託し、無頼の山賊達を恐るべき異能集団へと導いてゆくのです。
『
絵巻水滸伝(第2巻)』より『智多星 呉用(ちたせい ごよう)』
絵と文★正子公也
*『絵詞』は1996年に描いた水滸伝人物画約20点に添えられた、正子公也の文章を当時のまま、掲載しました。(初出;光栄刊「水滸伝」好漢ファイル)