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2008年 10月 24日
水滸傳絵詞之一 『九紋竜 史進』
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 雲間にかかる月が、徐々に明るくなるにつれて、棒を振る若者の背中の影から、竜が一匹、二匹……と姿を現しました。蒼ざめた月光に汗はきらめき、竜の息吹と見まごうばかりの蒸気となり、立ち上ってゆきます。
「なかなかうまい。見世物にはちょうどよい」
 九匹の竜の刺青をしたその若者は、棒の手をやめ、声のした方にゆっくりと振り向きます。
「──客人。いま何と申された」
 その眼は、挑戦的で傲慢で、しかし熱く気高い、竜の眼でした。王進(おうしん)は何か得体の知れない大きな力に、引き寄せられるのを感じました。かくて王進は、この若者に、武芸十八般、己の知りうる総ての秘奥を伝授することになります。
 天に散った百八つの星が、地上に宿命した最初の男──史進(ししん)。あだ名を“九紋竜(くもんりゅう)”。流浪の武芸者王進との運命的な出会いによって、浪に跳る蒼き竜児は、天をつらぬく玉竜へと成長してゆきます。
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                              絵と文★正子公也

1996年7月、正子公也は筆をエアブラシからMacintoshに持ち替え、コンピューター・グラフィックスに挑戦します。(当時の機種はMacintosh Performa 5210)
試行錯誤のすえ制作された、記念すべき第一弾が「九紋竜 史進(くもんりゅう ししん)」でした。今回、掲載したのは、加筆修正した画集バージョンです。初期バージョンは、キノトロープのサイト内「梁山泊の108人」で見る事が出来ます。
『絵詞』は1996年に描いた水滸伝人物画約20点に添えられた、正子公也の文章を、当時のまま掲載しました。(初出;光栄刊「水滸伝」好漢ファイル)

by suiko108blog | 2008-10-24 00:59 | 水滸傳絵詞 | Comments(0)


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