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2021年 07月 25日
英語で好漢(93)
『絵巻水滸伝』完結から10日。
なんだか、ぽっかりとして、23年ぶりに夏休みがきたような感じです。
いまのうちに、鋭気を養っておきましょう!
“四海兄弟”の帆を掲げた、“絵巻水滸伝”号が完成し、いましも進水しようとしているのです。
そう、世界へ向けて!


『絵巻水滸伝』の好漢のあだ名の英訳は、パール・バックの訳を基礎に、絵巻オリジナルを加えています。
英国在住の作家で、語学とセンスに優れた入江敦彦先生には、多大なご協力をいただきました。

それでは、今週の好漢は──

The Hoarding Star
among the stars of earth
The Smiling Tiger「ザ・スマイリング タイガー」

“笑う虎”、こわいですね!
もちろん、あいつが笑ったら気をつけろ──「地蔵星 笑面虎 朱富」です。
英語で好漢(93)_b0145843_13320817.jpg
兄に比べて愛嬌のある(?)朱富、虎という感じはしませんね。
やはり虎といえば、威風堂々、王者であり、気高い存在です。
ちょっと近寄りがたい畏怖の存在ですが……ここで、私が好きな中国の昔話をひとつ紹介しましょう。

『むかしむかし、ある山に年老いたおばあさんと息子が住んでいました。
その山にはおそろしい虎も住んでいて、ある時、息子をかみ殺してしまいます。
おばあさんは怒りと哀しみから、その虎のところへ行きます。
息子が死んでは、自分も生きてはいかれない、さあ、この婆を殺せ!
おばあさんは虎の前に身を投げ出します。
しかし、虎はおばあさんを殺しませんでした。
それどころか、それから毎日、虎はおばあさんの家の前に、自分で狩った鳥や獣を届けるようになりました。
まるで、自分が殺した息子のかわりに、おばあさんを養おうとするかのように……。
おばあさんも、いつしか虎を許し、息子のように虎を可愛がりました。
そして、やがて、おばあさんが死ぬと、虎はまた山のなかへと消えていきました──』

虎というのは、恐ろしい反面、情義もそなえ、多面性のある生き物だと思われていたのかもしれません。
ちょっとユーモラスな雰囲気もありますよね。

「The Hoarding Star」=『貯め込む星』ですが、「蔵」には「隠す」という意味もあります。
あまり感情や才覚を現すことのない朱富ですが、心のなかには、豊かなものを隠しているのに違いありません。


He was the ninety third companion.
He was brewer in the Liang-Shan Helikon and a younger brother of 'The Dune Crocodile'.
His nick name was 'The Smiling Tiger'. Originally he was a steady pub owner in Yi-Shui province.
'Blue Eyed Tiger', was his fighting trainer.
But, one day he drugged 'Blue Eyed Tiger' when he discovered his plan to help 'The Black Gale'.
He made up his mind and, along with his family, joined the Liang-Shan Warriors.
He died in Hang state during the Dark Guru War.
He was looking after his seriously ill brother and caught it to.

英語で好漢(93)_b0145843_18581166.jpg
我々は決して負けない!! All Men Are Brothers      梁山泊一同

被害に遇われた皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。被災地の復興をお祈り致します。




by suiko108blog | 2021-07-25 13:32 | Suiko108 クロニクル | Comments(6)
Commented by 雲海 at 2021-07-25 21:31 x
こんばんは。
珍しく日曜更新ですね。
23年ぶりの夏休み・・・いいですねぇ。
私は絵巻水滸伝改めてページめくっていましたよ。
奇しくも武松です。冬瓜と藩金蓮、いいですよねぇ。
冬瓜、いい小道具だなぁと思っておりました。
そういえば、李雲の弟子なんですよね・・・。
異色な師弟ですよねぇ。水滸伝って縁は異なものを
地で行く小説な気がします。
縁に逆らわず進むのがひとにとって善き流れを
つくっていける、そんな風に感じてしまいます。
Commented by suiko108blog at 2021-07-26 08:29
> 雲海さん
おはようございます!
引き続き見ていただいて、ありがとうございます。
終わったら誰も来てくれないかも……なんて、杞憂ですよね。
これからも更新はフリーダムに続けていきます!
そして、絵巻を見返していただき嬉しいです。冬瓜、皮は固いし、やたら重いのに、剥いてみると果肉は白くて繊細、煮ると透きとおって……というところが、意味深長です。料理法は、スープか、煮物がおいしいです。
李雲の弟子で朱貴の弟って、かなり渋い立ち位置ですね。それが李逵と同郷で、めぐりめぐって梁山泊。
我々も、縁に導かれるまま進みましょう。きっと、思いもよらぬ出逢いがあるはず!
Commented by しろうさ at 2021-07-28 06:00 x
>「The Hoarding Star」=『貯め込む星』
偶然かも知れませんが、トランプのダイヤはタロットカードでいうところのペンタクル(金貨)を意味しますね。
タロット占いでだいたいペンタクルが出ると「ああ金銭関係で何かあるな……!」なので、朱富さんがダイヤなのは何か暗示的なものが……???

個人的に、絵巻トランプの商品化を期待しております(^.^)
Commented by suiko108blog at 2021-07-28 09:34
> しろうささん
なるほど、そうなんですね!
トランプの配置を考えたのは正子先生なのですが、確かにダイヤには柴進や戴宗など、お金に縁がある好漢を選んだそうですよ。
朱富は……名前が「富」だから?にいさんも「貴」だし、もしやこの兄弟はもとは裕福な家の出!?そういえば、ちょっとインテリぽい……。
というところから、外伝が生れていくのでした。
しろうささんはタロット占いができるのですか!?
もしよかったら、『絵巻』の将来(!?)を占ってくださいー!
(そういえば、絵巻でタロットカードを……というご要望もあった気が。しろうささんでしたか)
Commented by しろうさ at 2021-07-28 17:19 x
素人の占いですので、軽い気持ちでお願いします(汗)

「水滸伝」といえば、私のイメージは李逵なんですよね(いえ、決して他の好漢達がどうのというわけではなくて)。
というわけで、水滸伝トランプの李逵のカードから感じてみることを……。
李逵のカードはクラブのクイーン。クラブはワンド(棒:火のエレメント)に相当します。
つまり、絵巻から立ちのぼる情熱は十分人々を惹きつける魅力があり、その魅力が生み出す力をみんなが信じることで、絵巻の世界はどんどん広がっていくでしょう。自信を持って堂々としていてください……というイメージを受け取りました。
そういえば、李逵の「逵」って大きな道の意味なんですよね(これもこのサイトで教えていただいたような)。
李逵がこれからも絵巻水滸伝の道をひらいてくれると思いますよ!
(李逵?道をひらくっていうのは、斧でばっさばっさと(物理的に)やってくれることではないのよ?)
Commented by suiko108blog at 2021-07-29 09:50
> しろうささん
すばらしいメッセージをありがとうございます!
おわっちゃったな~と、今さらちょっと寂しくなっていたのですが、大いに力づけられました。
やはり、道を拓くのは李逵ですか!
斧を振るうのはまずいですが……いや、時には、本能のままにバッサバッサと突き進むことも大切なのかもしれませんね。
李逵のように、真っ直ぐ!(アブナイ時は、宋江が止めるか、燕青がブン投げてくれるでしょう)。


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