人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2021年 07月 19日
正子公也からご挨拶
 長い長い旅が終わりました。
 まずは、23年間ずっと一緒に旅をしてきた森下翠さん、お疲れさまでした。キノトロープのスタッフの皆さま、ありがとうございました。『絵巻水滸伝』の最大の恩人である、キノトロープの生田社長には感謝の言葉もございません。これまで『絵巻水滸伝』を支えてくださった、数え切れないくらいたくさんの方々に、心より御礼申し上げます。
 そして、読者の皆さま、長い間お付き合いくださり、ほんとうにありがとうございました。
「方臘篇」書籍化に向けて、まだまだ作業は山のように残っています。ただ、物語はこれで終わりです。

「いざッ!梁山泊へ!」──23年前、連載開始にあたっての意気込みを、僕はこうしたためています。「もうすぐ出発です。長い旅になりそうです。辿り着けないかもしれません。でも、きっと何か大切なものが見つかる気がするのです。」しかし、ここまで長い旅になるとは、誰が予想したでしょう。そして、“大切なもの”は見つかったのか。……答えるまでもないでしょう。
 先週、元K社出版部のSさんが転属のご挨拶にやって来て、「机を整理していたら、こんなものが出てきました」と手渡されたのは、なんと、今から26年前に僕が作った手書きの「絵巻水滸伝」企画書!
 『絵巻水滸伝』連載開始の3年前、まだ森下さんともお会いする前、そして、僕はパソコンすら持っていなかった! そんな昔に書いたものが、最終回を迎える一週間前に戻ってくるとは…。残念ながらK社では採用されませんでしたが、この企画はS社、T社、A社、G社、E社…といくつもの企業を渡り歩き、ようやく生田社長に拾っていただき、Web連載という考えもしなかった形で、産声をあげたのです。

 僕にとって作品は、我が子のような存在です。恵まれた子もいれば、不幸な子もいる。僕はずっと、『絵巻水滸伝』は苦労ばかり多くて、幸薄い作品だと思っていました。しかし今、振り返ると、たくさんのご縁や出会いに恵まれ、支えられ愛されて、こんなに幸せな子はいないと思うのです。皆さまのおかげで、『絵巻水滸伝』は立派に巣立ってゆきます。
 僕は歳をとり、すでに還暦を過ぎてしまいましたが、『絵巻水滸伝』は僕と同じ5月生まれですから、まだ23歳になったばかり。さて、この先、どのような運命が待っているのでしょう。新たな旅の始まりです。あなたと共に。


「──これからだ!」


         2021年7月吉日 アトリエにて 

                正子公也

『絵巻水滸伝/第132回「星ノ章~水のほとりの物語(七)家路・後篇公開中! キノトロープ/絵巻水滸伝


正子公也からご挨拶_b0145843_18581166.jpg
我々は決して負けない!! All Men Are Brothers      梁山泊一同

被害に遇われた皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。被災地の復興をお祈り致します。




by suiko108blog | 2021-07-19 00:00 | 絵巻水滸伝 | Comments(4)
Commented by 野村 at 2021-07-19 14:34 x
正子先生、森下先生、スタッフ関係者の皆さま

23年間に亘り、毎号心躍る連載をありがとうございました。
本編の完結、誠におめでとうございます。
そして、大変お疲れさまでした。

数えてみると足掛け22年間、楽しませていただきました。
中学生の時分、初めて絵巻に出会って以来、
字にも絵にも活写される好漢たちに大切な教えをもらいながら、また
私自身も成長していく中で読み方も変わっていくことを覚えながら
今日に至れたこと、心から嬉しくまた、光栄に思います。

私事ですが、絵巻の完結と時を同じくして
李幇主の後を追い(笑)、南海の国に旅立つことになり、奇縁を感じております。
書籍化方臘篇は赴任先に持ち越しですが、異国の地で再び見る一〇八星の物語もまた
新たな趣きと味わいを得られるものと期待しています。

コロナ禍2度目の炎暑を迎えますが、皆さまもくれぐれもご自愛ください。
これからも、絵巻水滸伝を楽しんで参ります。
Commented by suiko108blog at 2021-07-19 21:05
> 野村さん
心に染みるコメント、ありがとうございます。
中学生からでしたか……多感な時期ですね。正子先生が水滸伝に出会った年頃とほぼ同じです。
野村さんの人生の一部に、絵巻水滸伝が関われたこと、嬉しいです。いや……これからは野村幇主ですね!この時期に南海に飛び出されるとは、なんという奇縁でしょう。もしかしたら、困難に出会う時があるかもしれませんが、背中に混江竜がついています!
この混乱を極めた2021年の7月に完結したのも、なにかの縁のような気がします。
この夏、みなさんの人生の扉が開かれ、四海兄弟の旗のもと、思う存分、力を発揮していく未来を信じています!
Commented by 雲海 at 2021-07-19 22:05 x
正子先生、絵巻水滸伝完結おめでとうございます。
そしてありがとうございました。
とても素晴らしい作品を長き間、愉しませていただき
雲海は幸せ者でございます。
思えば、私の古い友人が亡くなって心が空っぽに
なった時に出会った本でした。
そこからネットの絵巻水滸伝の連載を愉しむように
なりました。
私の空っぽの心は満たされ、今は以前よりも
多くの友人と時を愉しむようになりました。
最初、正子先生のご尊顔を拝見した時は
つい天貴の星、柴進を思い浮かべておりました。
次第にお近くに失礼する度に宋江のような優しさ、
大きさを感じておりました。
絵巻水滸伝は、おそらく永遠に残る作品だと
思います。多分、何十年後の読者が発見して
何とか全部読みたい、書架に加えたいと
夢中になる作品に間違いないと思うのです。
最後に大切なもの、教えていただきありがとうございました。そしてこれからも素敵な作品をお願いいたします。

Commented by suiko108blog at 2021-07-20 11:38
> 雲海さん
いつもいつも励みになる言葉をありがとうございます。
そうでしたか……まるで、そのお友達が雲海さんと絵巻を引き会わせてくれたように感じます。
人生の時々に、ふと好漢たちが現れて、なにかを伝えてくれる──我々が水滸伝に惹かれる理由のひとつではないでしょうか。
絵巻が終わっても、絵巻がつないでくれた縁というものは途切れません。
またお会いできるのを楽しみにしています。
好漢たちがそうであったように、たとえ所は分かれても、読者のみなさんとは、ずっと“梁山泊”に一緒にいる──そんな思いです。
もしかしたら、水滸伝に喝采を送ってきたら数百年間の人々、これから水滸伝を読む未来の人々、みんなと繋がっているのかもしれません。


<< 森下翠からご挨拶~旅のおわり、...      『星ノ章~水のほとりの物語 第... >>