『絵巻水滸伝 第百三十二回』ハイライト(一)
小魚の頑なな目は、まっすぐ前を見つめていた。
「ならば、呼延の姓を名乗れ」
呼延灼もまた、まっすぐ道の彼方を見据えていた。
「名が“魚”では、柔らかすぎる。これからは、そう、鈺と名乗るがいい」
鈺とは、鋼のように硬い玉のことだ。
「弱った。親子となった証として、お前に贈るものがない」
「では、なにか言葉を」
若者と老将は、馬を並べた。
秋空の下に伸びる街道は、杭州へと続いている。
そこで待っているものは、懐かしい仲間たちだけではない。
やがて、老呼延灼は若き後継者に、はなむけとなる言葉を告げた。
「迷う時あらば──まず“眼前の敵”と戦え」
『絵巻水滸伝 第百三十二回』ハイライト(二)
その時、背後から少年の声が響いた。
「──宋江さま!」
関勝に命じられた関鈴が、馬で駆けつけてきた。
「宋江さま──魯智深和尚が」
宋江が急ぎ六和寺に戻った時には、すでに魯智深は椅子に座禅したまま、静かに息を引き取っていた。


『絵巻水滸伝 第百三十二回』ハイライト(三)
「また会おう。いつか」
馬で去る岳兄に、望春は呼びかけた。
「岳兄、名前を教えておいてくれ。僕は──」
とっさに、叫んだ。
「僕は、花逢春だ」
我々は決して負けない!! All Men Are Brothers 梁山泊一同
被害に遇われた皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。被災地の復興をお祈り致します。