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2021年 07月 13日
『絵巻水滸伝 第百三十二回』ハイライト(一〜三) 
『絵巻水滸伝 第百三十二回』ハイライト(一) 

 小魚の頑なな目は、まっすぐ前を見つめていた。
「ならば、呼延の姓を名乗れ」
 呼延灼もまた、まっすぐ道の彼方を見据えていた。
「名が“魚”では、柔らかすぎる。これからは、そう、鈺と名乗るがいい」
 鈺とは、鋼のように硬い玉のことだ。
「弱った。親子となった証として、お前に贈るものがない」
「では、なにか言葉を」
 若者と老将は、馬を並べた。
 秋空の下に伸びる街道は、杭州へと続いている。
 そこで待っているものは、懐かしい仲間たちだけではない。
 やがて、老呼延灼は若き後継者に、はなむけとなる言葉を告げた。
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「迷う時あらば──まず“眼前の敵”と戦え」
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『絵巻水滸伝 第百三十二回』ハイライト(二) 

 その時、背後から少年の声が響いた。
「──宋江さま!」
 関勝に命じられた関鈴が、馬で駆けつけてきた。
「宋江さま──魯智深和尚が」
 宋江が急ぎ六和寺に戻った時には、すでに魯智深は椅子に座禅したまま、静かに息を引き取っていた。
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『絵巻水滸伝 第百三十二回』ハイライト(三) 

「また会おう。いつか」
 馬で去る岳兄に、望春は呼びかけた。
「岳兄、名前を教えておいてくれ。僕は──」
 とっさに、叫んだ。
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「僕は、花逢春だ」


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我々は決して負けない!! All Men Are Brothers      梁山泊一同

被害に遇われた皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。被災地の復興をお祈り致します。


by suiko108blog | 2021-07-13 00:00 | 絵巻水滸伝のススメ | Comments(0)


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