今月5日、中国文学者であり、日本における水滸伝研究の第一人者である高島俊男先生が亡くなられました。
水滸伝を愛する者で、先生の『水滸伝の世界』『水滸伝と日本人』を通過していない人はいないのではないでしょうか。
まだネットもなく、関係資料も少なかった頃、好漢のあだ名の由来などを、むさぼるように読んだものです。
『絵巻水滸伝』を書くことになった時、会ったこともない高島先生に教えを請うような手紙を書こうとした事もありました。
結局、それは思い止まったのですが、後に、思い止まったよかった──と、ほっとしたものです。
森下は、一度だけ高島先生とお会いしたことがあります。
親しい水滸迷が集まる小さな会に呼んでいただき、幸いにも隣で色々とお話する機会を得た時のことは、十数年を経た今でもはっきりと覚えています。
印象的だったのが、先生がお酒をたしなまれないこと。
そして、原典を中国人留学生に朗読してもらい、その録音を毎晩聞いていること──。
本当に『水滸伝』がお好きなんだ!と感動する一方で、現代語訳ではなく、古典そのままでなければ、というお話でしたので、とても『絵巻』の話を切り出す勇気はありませんでした。
今では、やはりお見せして、毒舌をふるっていただいた方が面白かったかも、と思ったりもしています。
高島先生のご冥福をお祈りするとともに、先生の『水滸伝』への愛と貢献に改めて感謝いたします。
(森下翠)

我々は決して負けない!! All Men Are Brothers 梁山泊一同
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