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2021年 04月 14日
高島先生の思い出
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今月5日、中国文学者であり、日本における水滸伝研究の第一人者である高島俊男先生が亡くなられました。
水滸伝を愛する者で、先生の『水滸伝の世界』『水滸伝と日本人』を通過していない人はいないのではないでしょうか。
まだネットもなく、関係資料も少なかった頃、好漢のあだ名の由来などを、むさぼるように読んだものです。
『絵巻水滸伝』を書くことになった時、会ったこともない高島先生に教えを請うような手紙を書こうとした事もありました。
結局、それは思い止まったのですが、後に、思い止まったよかった──と、ほっとしたものです。

森下は、一度だけ高島先生とお会いしたことがあります。
親しい水滸迷が集まる小さな会に呼んでいただき、幸いにも隣で色々とお話する機会を得た時のことは、十数年を経た今でもはっきりと覚えています。
印象的だったのが、先生がお酒をたしなまれないこと。
そして、原典を中国人留学生に朗読してもらい、その録音を毎晩聞いていること──。
本当に『水滸伝』がお好きなんだ!と感動する一方で、現代語訳ではなく、古典そのままでなければ、というお話でしたので、とても『絵巻』の話を切り出す勇気はありませんでした。

今では、やはりお見せして、毒舌をふるっていただいた方が面白かったかも、と思ったりもしています。
高島先生のご冥福をお祈りするとともに、先生の『水滸伝』への愛と貢献に改めて感謝いたします。

(森下翠)
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『絵巻水滸伝』Web更新日のお知らせ_b0145843_18581166.jpg
我々は決して負けない!! All Men Are Brothers      梁山泊一同

被害に遇われた皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。被災地の復興をお祈り致します。


by suiko108blog | 2021-04-14 00:00 | Comments(4)
Commented by 雲海 at 2021-04-14 22:07 x
こんばんは。
やはり、水滸伝の世界は通過点ですねぇ。
最初読んだ時に、すばらしい文章と思いました。
非常に解りやすい、親しみのある書き方を
される先生だから、こういう文を書かれる
先生は相当凄いのだろうと思っていました。
高島先生は水滸伝愛の究極のカタチ
をお持ちだったのですねぇ。
素敵なお話しをありがとうございます。
改めて高島先生のご冥福をお祈りするとともに
先生の本大事に末永く愉しませていただきます。
Commented by あーる at 2021-04-15 01:03 x
こんばんは。
ゲームの本が最高の資料だった当時、
高島先生の水滸伝人物辞典を見つけた時の衝撃と
言ったら…‼︎こんな本をだす人がいるなんて、
まさに先を生きる人、先生でした。
心からご冥福をお祈りします。

原文本来の微妙なニュアンスも大事ですが、
水滸伝のような物語では、
それに捉われ過ぎない事も大事だと思います。
絵巻は水滸伝の魅力が詰まっていて素晴らしい‼︎
加えて正子、森下両先生の人柄(笑)‼︎
初めて画集を手にとってからもうすぐ22年、
最後まで応援してまいります。
Commented by suiko108blog at 2021-04-15 10:46
> 雲海さん
やはり雲海さんも通過しましたか!当時から貴重な本でしたよね。
中国文学の研究者では、宮崎先生と高島先生が文章の巧みさでもツートップです。
気難しいといいう人もいましたが、優しいお人柄でしたよ。
先生の魂は梁山泊に還られて、好漢たちに囲まれているかもしれませんね。
Commented by suiko108blog at 2021-04-15 10:51
> あーるさん
あーるさんも20年越え組ですか。長いお付き合い、ありがとうございます!
そうそう、あの頃はゲーム本くらいしかなかったですよね。
人物事典には、絵巻もお世話になりました。
翻訳は、読み比べてみると訳者によって相当ちがいますね。あれだけたくさんの人が出て、あらゆる事件が起こりますから、ほんとうにタイヘン!森下翠は108重人格ですよ!
ツイッターの方でも応援ありがとうございます(ですよね?)
最終回に向かって、盛り上がっていきましょう!


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