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2020年 11月 04日
英語で好漢(59)
今週は、『英語で好漢』が二回!
どういうことでしょう……と、怪しむには足りません。
やはり、この二人は離ればなれにはできませんからね。
(ちょっとだけ、“隙間”が開いてしまうのは、二人の宿命です)

好漢のあだ名の英訳は、パール・バックの訳を基礎に、オリジナルを加えています。
英国在住の作家で、語学とセンスに優れた入江敦彦先生には、多大なご協力をいただきました。
(ロンドンが再びロックダウン……ご無事を祈ります!)

さて、今日の兄弟は……いや姉妹?

The Intelligent Star
among the stars of earth
Emerald Serpent「エメラルド・サーペント」

「碧玉の水蛇」!
この美しいあだ名にふさわしいのは、「地慧星 一丈青 扈三娘」おいてはありませんね。
英語で好漢(59)_b0145843_10152353.jpg
もともとこの“一丈青”というあだ名は、よく意味が分からないと言われています。
宋代の人気力士のあだ名であったり、燕青のあだ名であったり……(力士と燕青なら分かりますよね)。
一丈は約3メートル、“青”を入れ墨と解釈して、「すらりとした入れ墨の美男子」なんて解釈も(まさに燕青!)。
それがなぜ、美少女剣士・扈三娘のあだ名になったのか……。
時代的に、“お転婆”に対する、ちょっとした皮肉も含まれているかもしれませんね。
そんなこんなで、我らが扈三娘には、絵巻オリジナルで「エメラルドの蛇」
その凛々しくも美しい姿と、彼女が使う鉤絹に由来しています。
ちなみに、旧『梁山豪傑壱百零八』(グラフィック社)では、“Ten Foot Green Snake”でした。

She was the fifty ninth companion, an officer in the Cavalry Division and Home Secretary.
Originally she was Lady of Manor Hu, and a famous beauty.
She was a skilful fighter with the twin sword Sun and Moon.
She was magnificent when she rode a swift horse. She was called 'Emerald Serpent', a beautiful and dangerous creature. She was engaged to the third son of Manor Zhu, the Liang-Shan Warriors were her enemy and she was always troubled by them. She fought well, even defeating 'Dwarf Tiger'. Eventually she was captured and taken prisoner. She knew the Manors of Zhu and Hu, both of which ceased to exist during the Liang-Shan Helikon. She decided to become a Liang-Shan warrior and marry Dwarf Tiger. 'Welcome Rain' was their best man. Her last act was at the Dark Guru War. She wanted to avenge her beloved's death by killing the Taoist who killed him. Destiny, however, was not her ally.




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我々は決して負けない!! All Men Are Brothers      梁山泊一同

被害に遇われた皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。被災地の復興をお祈り致します。




by suiko108blog | 2020-11-04 00:00 | Suiko108 クロニクル | Comments(6)
Commented by 野村 at 2020-11-04 15:55 x
一番気になってた好漢なのでコメントします!emerald serpent、かっこいいですね!もう20年近く前ですが、絵巻を読みながら(光栄の天導一〇八星から来ました)、一丈青の「青」が分からず、漢和辞典で「蛇」(青大将w?)の義を見つけて、やっぱりあの鉤縄のことかなあ、と思ってました。そう思うのが一番すっきりです。絵巻終盤ですね、悲しいですが、楽しみにしてます!
Commented by suiko108blog at 2020-11-04 16:51
> 野村さん
こんにちは!初コメントありがとうございます!
やはり扈三娘は特別な存在ですよね。あだ名も諸説ありますが、ヒロインですから、「入れ墨」は……。伝統的な扈三娘の絵が長い布を翻していたりしますし、『白蛇伝』にも可愛い小間使いの青蛇“小青”が登場しますから(元は男という設定もありますが)、イメージ的にも青=蛇はアリだと思います。
きれいなだけじゃない、ちょっとキケンな美女……扈三娘はそんな存在であってほしいですね。
またなにかあったらコメントしてくださいね。お待ちしています!
Commented by 十三 at 2020-11-04 23:45 x
こんばんは!私は最終的に"矮脚虎"と対になるものとしての"一丈の蛇"という感覚でいたのですが、そういった説はないのでしょうか。気になったのでコメントしてみました。
Commented by suiko108blog at 2020-11-05 08:47
> 十三さん
コメントありがとうございます!
そうそう、小柄な王英と、スラリとした扈三娘の対比の妙ですよね。そういう解説をしている本もありますし。
自分の好みの解釈でいいと思います。いずれにせよ、王英と扈三娘が好一対なのは不動ですから!
Commented by 雲海 at 2020-11-05 22:27 x
こんばんは。
絵巻水滸伝の嬉しいところは、しっかりこの2人の
絆を描いたところですねぇ。
昔は、おいおい、これって有りか? なんて思って
ましたけどね、林沖と結ばれたら、みた目はいい
のでしょうけど、
三娘が静かに距離を置いてしまうのかなぁ、と。
やっぱり王英のちょっと軽めの明るさって
救われることが多いように思いますねぇ。
扈三娘も今世で、きっと笑顔の多い幸せな時を
たくさん過ごし、今も天界ででしょうか、
来世でも幸せいっぱいでいるように思います。
Commented by suiko108blog at 2020-11-06 08:32
> 雲海さん
おはようございます。
そうですよねぇ……ココは、水滸伝読者が100パーセント「なんで!?」と思うところですよね。でも、最期は一緒ですからね。やはり、仲はよかったはずですよね。
理想の人と、相性のいい人は違うといいますしね(家に帰って林冲がいたら、緊張しますよ~家事を完璧にやろうとして、扈三娘、倒れそう……)、扈三娘は王英と結婚して本当に幸せになったと思います!


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