あだ名の“跳澗虎”とは、「谷川を飛び越える虎」。
それほど脚の力が強かった。また声が大きく、性格が荒々しいため、虎の名を冠されたのである。
点鋼槍の使い手で、もとは華州の少華山で“神機軍師”朱武や“白花蛇”楊春と強盗をして稼いでいた。
その時、朱武や楊春の制止を振り切って史家村へ食糧を奪いに行き、“九紋竜”史進に捕らえられた。
それにより、史進は良民の暮らしを捨てて江湖へ旅立ち、のち小華山の者たちも史進を救うため山を去って梁山泊へと合流した。
少華山以来の仲間、朱武、楊春との間には、常に変わらぬ家族同然の情があった。
短気だが、知恵もあり、なによりも気概があった。友情があり、義侠心があった。
『周』とは、欠け目なく行き届き、あまねく人々と交わるさま。
彼は、つねに仲間を思い、最後まで戦いぬいた。
あらゆる谷川を飛び越えて、虎は、どこまでも駆けていくであろう。