五尺足らずの小男だが眼光鋭く、あだ名は“矮脚虎”──「短足の虎」。“王矮虎”と呼ばれることもある。もとの仕事は荷車引きだが、人を殺して清風山の賊となった。仲間には“錦毛虎”燕順と、“白面郎君”鄭天寿がおり、山では第二の頭目だった。好漢には珍しく無類の女好きで、清風寨の知寨夫人をかどわかすなど事件を起こす。祝家荘では、扈三娘の美しいのを見て飛び出していくが、かなわず捕虜にされてしまう。しかし、戦後、梁山泊にやって来た扈三娘に命懸けの求婚を繰り返し、見事にその心を射止めた。二人の婚礼は梁山泊をあげで華々しく執り行われ、その後も仲は睦まじかった。方臘戦の烏竜嶺越えにて夫婦ともに果てるまで、王英の扈三娘に対する純愛は、一時も曇ることはなかった。生まれや育ち、容貌や才覚などは正反対の二人だったが、梁山泊が月下氷人となって結んだ奇縁は、まさに天上の一対。来世にても、また必ず出会う宿命である。
王英ミニ知識!
(1)「五尺たらず」って、実際にはどれくらい?とみなさん気になりますよね。北宋の1尺は31.2センチですので、王英の身長は156センチ位になります。案外、低くない?それくらいの身長の男子もかわいいですよね!
(2)文中では「荷車引き」としていますが、実際は「ネコ」のような押すタイプの荷車が主流でした。重い荷車を押していた王英は、きっと上半身がガッチリとしていたことでしょう。