2018年 04月 19日
『扈三娘のあだ名』
扈三娘追悼の再録です。
扈三娘は、最後まで、強く、美しかったと思います。
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 水滸伝には百八人の好漢につけられたものを含め、沢山のあだ名が登場します。“智多星”や“九紋竜”のように意味がすぐ分かるものもあれば、“旱地忽律”、“鉄叫子”のような、元の言葉の意味を調べないと分からないものもあります。その中でも、もっとも分かりにくいのが、扈三娘のあだ名、“一丈青”ではないでしょ うか。
 高島俊男先生はその著書『水滸伝の世界』において、一丈青の意味の由来として、
「身長が一丈(3メートル!!)あった」
「一丈の青竜を刺青していた」
 などの諸説を紹介しておられますが、海棠の花にも見紛う美少女には相応しくないのではないか──とも指摘しておられます。
 それを踏まえ、佐竹靖彦先生が『梁山泊』の中で展開されているのが、
「かつては蛇や竜の長さを一丈とするのがスタンダードであった」という論です。
(ゆえに刺青説が出るわけですが……実際に“一丈青”というあだ名の無頼漢がいたり、水滸伝の原型である『大宋宣和遺事』では“一丈青”は張横(!!)のあだ名でした)
 もっとも、蛇──も、楊春になら似合いますが……。
 そんなことを考えていた時、ご近所にささやかな事件が起こりました。
 森下は東京都下に住んでいますが、ある昼下り、突然お向かいの奥さんの絹を裂くような悲鳴が聞こえてきました。何事かと外を覗いてみると、どうやら塀の上に大きな蛇がいたらしく、大騒ぎになっていました。
 その蛇が、実に不思議な蛇だったのです。
 誰かが飼っていたものでしょうか。道路に落ちたそれは、紐のように細くて長く、光沢のある灰色がかった青い色をしていました。
 精気にあふれ、強くしなやかで、美しくも妖しい蛇──それは、まさにイメージしていた“一丈青”扈三娘そのものでした。
 扈三娘は確かに美少女ですが、彼女もまた魔星の転生という宿命の下に生まれた“好漢”です。また鉤のついた絹を操り、強敵を次々と生け捕りにします。美しいだけでも、強いだけでもなく、華奢な体に無限のエネルギーと毒を秘めた存在、それが“一丈青”扈三娘なのです。
 一丈の青(あお)──それは、彼女が操る蛇のごとき一丈の青絹であり、生命力に溢れ、美しく危険な扈三娘そのものをも現したあだ名となりました。
 ちなみに、『絵巻水滸伝』は“一丈青”の英訳をEmerald Serpent としていますが、サーペントとは「海蛇」のこと。Emerald Serpent は水中をしなやかに泳ぐ、しかし、近づけば危険な美しい蛇のことなのです。

 ちなみに、くだんの青蛇嬢(雌雄は分かりませんが、『白蛇伝』でも青蛇はおきゃんな可愛い小間使いなので、青蛇はどうしても女の子のイメージです)は、近所の旦那さんの手によって、近くの畑に放されました。どこに行ったのか、その後、噂は聞いていません。


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我々は決して負けない!! All Men Are Brothers      梁山泊一同

被害に遇われた皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。被災地の復興をお祈り致します。

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by suiko108blog | 2018-04-19 00:00 | Suiko108 うらばなし | Comments(14)
Commented by 雲海 at 2018-04-19 21:28 x
こんばんわ。
一丈青・・・。ただ強いだけではなく、女性特有のしなやかさと優美さをあわせもった強さがでていましたねぇ。
最期も、実は王英がやられていなければ、勝っていたような気がします。
彼女の魂に合掌。
127回 後編の校正を載せ忘れていました。
烏竜嶺が落ちれば、呉用に預けた二万も山を烏竜嶺を越え、全軍で睦州が攻められるのだ。→烏竜嶺が落ちれば、呉用に預けた二万も山を越え、全軍で睦州が攻められるのだ。
その姿は夜に溶け込んでいて、はっきりは見えない。→その姿は夜に溶け込んでいて、はっきりとは見えない。
Commented by しろうさ at 2018-04-20 06:20 x
おはようございます!
西洋ではドラゴンは怪獣みたいな形ですが、東洋では基本形はにょろにょろ蛇(鰐がもともとの形という話もありますね)。
諺もいろいろ多いし、財物の象徴にもなっていますから、(書かなくても一般常識として)当時「蛇」は何かの象徴だったのかもしれませんね……。

>女性特有のしなやかさと優美さをあわせもった強さがでていましたねぇ。
○○○「おや、私にはそういうのがないとでも?」
△△△「あなた、饅頭の材料を見つけましたわよ」
Commented by suiko108blog at 2018-04-20 08:24
> 雲海さん
おはようございます!
扈三娘は、少女と好漢の2つの面をもつ、鮮烈な存在でしたね。
人気投票ではあまりふるわなかったのですが、
物語のなかでの成長も大きかったですし、みなさん、彼女の人生を見守っていてくれたんだな……と、今回のみなさんの反響で実感しました。
来世があれば、王英と扈三娘は、またきっと必ず遇うはず!
二人は星に戻り、その時を待つのでしょう。
Commented by suiko108blog at 2018-04-20 08:28
> しろうささん
日本では、蛇の夢を見るとオカネモチになる、といいますよね!
中国だと……生命力?
食べると精もつきますし……!
その蛇より、アネゴたちがコワイんですが!!
Commented by 中道 at 2018-04-20 09:27 x
おはようございます。
今日はこちらは、暑くなりそうな感じですが、
一日がんばっていきましょう。
結局、王英さんは扈三娘さんに赤ちゃんができた
ことを知らずに、でも二人一緒だからむこうで
扈三娘さんから聞かされて「え!扈三娘ほんとか?
やったな!!」て大喜びしていそうですね。
話は変わりますが、拙宅にはみーさん (どこの地方でも
そうよぶのでしょうか?)を祀った結構立派な祠が
僕が物心がつく前からあるのですが、もうだいぶ前の
ことなですが、あまりにも鮮明だったので今もはっきり
憶えている霊夢?があるのですが、僕が外から帰って
きて家に入ろうとすると、そのまえに「お先に!」と
大きな蛇(みーさん)あれよあれよという間に入って
いかれました、僕はただ立ち竦んで え? え?みたいな
感じで、でもあーやっぱり家はみーさんに護ってもらって
いるんだな、ありがたいなと思いました
しろうささんが財物の象徴と言っておられれるように
であるならば、いまのところはその兆しありませんが(笑)
期待いいかなと、みーさんは女性の神様ときいたことが
あります、こんなところも扈三娘と一致をみるようで
不思議な気がします、なにはともあれ、家も祠も綺麗に
して、正統な努力とは思うのですが(笑)
Commented by suiko108blog at 2018-04-20 13:43
> 中道さん
こんにちは!
一昨日はストーブをつけたのに、今日はまるで夏のような暑さ!
ついアイスを買ってしまいました……。

燕順親分が、赤ちゃんを抱く姿もみてみたかったですね。
女の子だったりしたら、絶対あまい“おじいちゃん”(?)になりそうです。

ところで、みーさん!?初めてききました!巳さんなのでしょうか。
不思議な夢ですね……ずっと覚えてはいたけれど、いままた改めて思い出したということは、みーさん、近くにいるのかもしれませんよ!
心の中で呼びかけましょう……「みーさん!」

そういえば、うちの祖母が、神様の掛け軸から小さな白蛇がたくさん出てくるのを見た、と生前言っていましたが……みーさんの掛け軸だったのでしょうか。
みーさん、戻ってきて!

みなさんのみーさん情報をお待ちしています!
Commented by 雲海 at 2018-04-20 22:19 x
>△△△「あなた、饅頭の材料を見つけましたわよ」
やばい! 食われる・・・。

>みーさん
日本は蛇を神聖視する地方と、ちょっと怖い憑き物信仰する地方と分かれていますねぇ。
雲海さんのところはあまり蛇の話は聞きませんが、土地の名で「蛇塚」というところがあります。久能山の近くですが何か伝承があるのかもしれませんな。
Commented by suiko108blog at 2018-04-21 07:43
> 雲海さん
おはようございます!
そちらにもみーさんがいらっしゃるんですね。久能山……ちょっと調べたら、増上寺の側にもあるそうです。すると、あの御方に関係が……?
出世、金運の神様ですので、絵巻売り上げ大躍進!をみーさんに祈ります。
Commented by しろうさ at 2018-04-23 21:42 x
ところで、本日4月23日は、西洋ではドラゴン退治で有名な聖ジョージの祝祭日が由来の『ドラゴンの日』らしいですよ!
(ツイッターで見た)
龍由来の綽名持ちのみなさんは今日は宴会ですね!

……え?退治される側じゃないから違うって?
Commented by suiko108blog at 2018-04-24 08:19
> しろうささん
おはようございます!
そんな記念日があるんですね。梁山泊には、ドラゴンたくさんいますね。
公孫勝、史進、李俊、鄒淵、鄒潤……みんな“お尋ね者”だから、やはり退治される側……?
「来るなら来い、ジョージ!」で大宴会ですね。
Commented by 中道 at 2018-04-24 23:13 x
こんばんは。
今日もお疲れ様でした、昨日はカンカン照り、今日は
シトシト雨の一日でした、ところで蛇神信仰は奈良の
大神神社が有名だそうですが、うちのおとなりという
ことで関東より関西のほうが盛んなんでしょうか?
母に訊くと、みーさんは女性の神様でしかもお二人
いらしゃるようです、ちょっとどの字をあてるのか
分からないのですが、たまひめ様、こまひめ様と
仰るそうです、御姉妹なのでしようか?
女性ならなおさら、もうちょっと家もきれいにして
末永くいて頂かなければと期待ばかりでなく自分の
努力が一番大切だ!と思いつつ・・・(笑)
Commented by suiko108blog at 2018-04-25 08:41
> 中道さん
おはようございます。土砂降りの水曜日です。
アメニモマケズ……!
みーさん……とっても気になります。
美しい二人の女神様だったら、ステキですね。しかも財運UP!(叶姉妹的なゴージャス感♡)
そうそう、みーさま(!)にお願いしてから、書店さんから絵巻の追加注文もあったんですよ。
ありがとう、みーさま!
そこで思い出したのが、こちら!
https://suiko108.exblog.jp/20728911/
正子公也の故郷、玉野にも「たまひめ神社」がありました。
たま、龍、蛇、女神様……興味ぶかいです。
Commented by 中道 at 2018-04-25 22:40 x
こんばんは。
今日もお疲れ様でした、いや久しぶりの本降りでしたね、
明日はお天気は回復らしですが、しかし絵巻追加注文は
すばらしですね!やはり財運を司る神様なんでしょうか?
みーさんは白蛇、どうしても美しい女神様を想像して
しまいますね、でも「たまひめ神社」とたまひめ様
少し離れていますが、何か関係があるんでしょうか?
すごく不思議な気がしますね。

P.S. 話は変わるのですが、僕も筍ご飯作ってみました
  紹介を参考になんとかおいしくいただけましたよ。
  旬なものを旬なときに頂くのは本当にいいもですね、
  また旬な食材、料理の紹介も待っています。
Commented by suiko108blog at 2018-04-26 08:11
> 中道さん
おはようございます!
雨のあとの、さわやかな朝です。吹く風がちょっと初秋のようで、どこか自然の中に出かけたくなりますが、今日もおしごと!
5月発売の新刊が続々と届いています。みーさん、どうぞ売れますように!
筍ごはん、おいしく出来ましたか!さすが!
そちらはいい筍が手に入るのではないでしょうか。東京はとても高いので、地元の農家さんが出してくれる1ケ月くらいを狙って、タケノコ三昧です。
炊きたての筍ごはん、香ばしくて、たくさん食べてしまいますよね。
好漢飯・自炊篇、またやります!
(そういえば、好漢たちは意外と料理できますよね)


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