『絵巻水滸伝 第10巻〜結集百八星 』ハイライト(40)
麗芝は悲鳴を上げることもできず、ただ呆然と男が近づくのを見つめていた。
董平の声が遠く響いた。
「麗芝」
董平は額に落ちた一筋の髪をかき上げると、ゆっくりと令嬢に向かって歩いていった。そして、震える佳人へ、手にした一輪の白梅を差し出した。
「約束どおり、迎えに来た──わが妻よ」

白い花弁に、点々と血が飛び散っていた。
(『第70回 結集百八星』より)
『絵巻水滸伝/「第126回 憤怒ノ江、慟哭ノ嶮・前篇』公開中!(
キノトロープ/絵巻水滸伝)