『絵巻水滸伝 第10巻〜結集百八星 』ハイライト(37)
関勝は声の主を探した。そして、純白の闇の中に、巨大な人の姿を見た。
燃え上がる赤き馬に跨がり、手に掲げるは青竜偃月刀。その重さ八十二斤、名付けて“冷艶鋸”と呼ぶ。
その人は、忿怒の形相で裔たる関勝を睨みつけていた。
漢寿亭侯関雲長──武神関王。
関羽は青竜偃月刀を関勝の頭へ振り下ろした。関勝はかつていかなる戦場にも感じたことのない恐怖を感じた。
「待ってくれ」
関羽の刀が関勝の頭を貫いた。

声が響いた。深い、静かな声だった。
「──春秋に義戦なし」
(『第70回 結集百八星』より)
『絵巻水滸伝/「第125回 黄金の花咲く森で・後篇』公開中!(
キノトロープ/絵巻水滸伝)