行楽の秋!
ということで、懐かしい旅行写真を探してきました。
山東省泰山は、第二部招安篇冒頭の舞台のひとつでもありますね。
ほんとうに雄大です。黄山が女性的な美しさなら、こちらは男性的。
巨大な岩山が、どこまでも続いています。
写真にはありませんが、遠くの岩の上に、ポツリと道士(本物!)が立っていたのも神秘的でした。
こんなところで、燕青は頑張ったんですねぇ……。
霊峰・泰山は中国が誇る世界遺産の一つです。山東省中部にあり、梁山泊からは東になります。最高峰の玉皇頂は標高1,532メートル。途中までロープウェーもありますが、石段を歩いて登る強者もいます。頂上近辺には宿泊施設もあり、泰山からの日の出を見たい人々が宿泊します。泰山は春秋の昔から、秦の始皇帝をはじめ多くの天子が天に地上の支配者となったことを報告する「封禅」の儀式を行う場所として知られていました。泰山は天に一番近い場所──だったのです。孔子は泰山に登り「世界はなんと小さいのか」と慨嘆したと言われています。泰山──というと、山がひとつあるだけのような気がしますが、泰山は延々と続く山脈とも思える広大な山々をさします。大地の生命力が湧き上がったような力強い峰々、延々と続く雄大な山容は、ちょっと他では見られないものではないでしょうか。まさしく、天上の別天地ともいうべき場所で、神が宿り、仙人が遊び、道士たちが修行の地としたのも頷けます。ちなみに、蔡京らは徽宗にも封禅の儀式を行うよう勧めたそうですが、結局、実現はしませんでした。
泰山の麓にある岱廟は、“浪子”燕青が力士・任原を相手に見事な相撲をとった場所です。岱廟は代々の皇帝が増改築を繰り返した壮麗な建造群で、中国三大宮殿建築にも数えられています(あとの二つは曲阜の孔子廟と北京の故宮)。なお、“神行太保”戴宗が最後に出家し、道士となって大往生を遂げたのも、この岱廟でした。現在は道士より、物売りのほうが多く見られる有数の観光スポットになっています。 (写真撮影:森下翠)