『絵巻水滸伝 第10巻〜結集百八星 』ハイライト(30)
やがて双方の矢が尽きた。その時には、すでに林冲と楊志が部隊を率いて東昌府軍へ突入していた。その前へ、敏捷なる獣のごとく突出したのは、張清の両翼をなす“花項虎”キョウ旺、“中箭虎”丁得孫の二虎である。

丁得孫は、“箭にあたった虎”の名のごとく、顔から体、あらゆる皮膚に古傷が縦横に刻み込まれた男である。一方のキョウ旺は顔から首、背にまで虎の斑紋を刺青し、異族の装束を身にまとっている。梁山泊よりも山賊らしい男たちであった。
キョウ旺は手槍を、丁得孫は短扠を武器としていた。接近して戦うのに適した武器である。