『一丈青 扈三娘(いちじょうせい こさんじょう)』 凛々しき顔立ち、目色涼しく眉に力あり。日・月二振りの刀を自在に操り、扈家荘の‘おひいさま’は華麗に登場、名だたる豪傑相手に堂々と渡り合います。投降後は集団に埋没して光なく、ただ戦場においてのみ呼吸を許されます。春の陽が虹色に陽炎となり、ものいわぬ佳人は籠から放たれた蝶のように、魔法の燐粉をふりまきます。
絵と文★正子公也
*『絵詞』は1996年に描いた水滸伝人物画約20点に添えられた、正子公也の文章を当時のまま、掲載しました。(初出;光栄刊「水滸伝」好漢ファイル)