『絵巻水滸伝 第9巻〜大戦梁山泊 』ハイライト(30)
「誰だ?」
燕青が問うと、声のしたあたりに灯がともった。小さな焚き火が燃え上がり、闇を照らした。燕青は、あの男たちが慌てて去っていった訳が分かった。

橋の下、焚き火の周辺にぎっしりと乞食たちが座っていたのだ。火から離れ、橋脚の陰の暗がりに佇んでいる者もいる。百か二百か、あるいはもっといるかもしれない。無表情な男たち、破れ布や菰にくるまった子供、老人や若い女もいる。無数の目が、燕青をじっと見つめていた。
彼らの中心、火に一番近い所に、一人の男が胡座をかいて座っていた。自分を抑えつけたのは、この男だと直感した。歳の頃は三十位か、痩せて、鋭い目をした男だ。やはり粗末なものを着ているが、体はまるで軍人のように鍛えられていた。
燕青は闇の中に立ったまま、男に尋ねた。
「あんたは誰だい」

「このあたりでは、許大丐で通っている」
(『第63回 埋伏』より)
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キノトロープ/絵巻水滸伝)
我々は決して負けない!! All Men Are Brothers 梁山泊一同
被害に遇われた皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。被災地の復興をお祈り致します。
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