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2015年 09月 10日
『宋江三十六人賛』(34)
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   “鉄天王”晁蓋


北宋時代、梁山泊に集まった好漢たちの物語は、はじめから今の「水滸伝」の形をとっていたわけではありません。
『宋江三十六人賛』は、『水滸伝』の誕生に先駆けて、南宋時代(1127~1279)に書かれた宋江ら三十六人の仲間を讃える文章です。
もともとは画がついた“画賛”でしたが、画は散逸して、今では文章だけが残っています。

古文ですし、当時の世相を色濃く反映しているので、訳すのは大変に難しいです。
分からない言葉もたくさんありますが、なんとか頑張って読んでいってみましょう。
南宋時代の梁山泊にはどんなメンバーがいたのか、そして、彼らはどのような人物としてイメージされていたのでしょう。

※訳文はあくまで素人の推測・想像ですので、多少とも合っているのかどうか、まったく分かりません。
皆さんのご意見、識者のご教授をお待ちしています!

   “鉄天王”晁蓋


 毘沙天人(毘沙天人)
 
 証紫金躯(証す紫金の躯)

 頑鉄鋳汝(頑鉄は汝を鋳し)

 亦出洪炉(また洪炉より出ずる)


梁山泊二代目頭領、“托塔天王”晁蓋殿が、なんと36人の中に!
しかも34位……?
一体、どういうことでしょう。
あだ名は“鉄天王”。『水滸伝』でも、“晁天王”と呼ばれたりしていましたね。
“天王”は、天子や神様のこと。
賛も、なにやら神々しい感じです。

“毘沙”は毘沙門天、“天人”も天子や神仙、非常にすぐれた人。
“紫金”、紫と金(黄)は、皇帝や神様が使う貴い色ですね。赤銅、上等な金のこともいいます。
南京に紫金山という山がありますが、こちらには孫権や朱元璋、孫文などのお墓があります。
レストランの名前にも使われていたりしますが、ちょっと高級感がかもしだされます。
そして、さらに硬い鉄、巨大な坩堝(るつぼ)……これは不老不死の薬・仙丹を錬える八卦炉などを連想します。

神様、天子……これでもか、とありがたい単語が並んでいます。
さすが晁蓋殿!
そんなありがたい賛をsuiko108的に超訳すると……

「晁蓋様は毘沙門天の生まれ変わりのような非凡な御方。すばらしい鋼を、さらに霊薬を錬る仙人の炉で鍛え上げたような御姿は、まさに神!」

そんな感じでしょうか?
36人中、最高レベルの賛辞です。山賊とか、無頼漢とかの陰は微塵もありません。
こちらの晁蓋殿がどんな偉人だったのかはわかりませんが、人気があったのは確かですね。
そして、その人気が、『水滸伝』での大抜擢に影響したことは間違いありません。



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  我々は決して負けない!! All Men Are Brothers          梁山泊一同

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by suiko108blog | 2015-09-10 00:00 | Suiko108 クロニクル | Comments(0)


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