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2015年 07月 17日
『宋江三十六人賛』(32)
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   “拼命三郎”石秀


北宋時代、梁山泊に集まった好漢たちの物語は、はじめから今の「水滸伝」の形をとっていたわけではありません。
『宋江三十六人賛』は、『水滸伝』の誕生に先駆けて、南宋時代(1127~1279)に書かれた宋江ら三十六人の仲間を讃える文章です。
もともとは画がついた“画賛”でしたが、画は散逸して、今では文章だけが残っています。

古文ですし、当時の世相を色濃く反映しているので、訳すのは大変に難しいです。
分からない言葉もたくさんありますが、なんとか頑張って読んでいってみましょう。
南宋時代の梁山泊にはどんなメンバーがいたのか、そして、彼らはどのような人物としてイメージされていたのでしょう。

※訳文はあくまで素人の推測・想像ですので、多少とも合っているのかどうか、まったく分かりません。
皆さんのご意見、識者のご教授をお待ちしています!

   “拼命三郎”石秀

 石秀拼命(石秀は命を拼し)
 
 志在金宝(志は金宝にあり)

 大似河豚(大いに河豚に似て)

 腹果一飽(腹果一飽)


梁山泊第33位の好漢、“命しらず”の石秀兄貴が登場です。
石秀といえば、男の中の男。自らの命をなげうって、弱き(主に雄さん)を助け、強きをくじく男伊達。
人気も高いですよね。
あだ名も同じ“命知らず”、こっちの石秀もかっこいいはず……!

と思ったsuiko108の胸を、すぐに一抹の不安が過りました。
なんだか、おかしい……。
いや、実はこの違和感、三十六人賛のなんちゃって訳をはじめた時から感じていました。
これは、「好漢讃歌」ではないのではないかという……。

しかし、まさか石秀にかぎって、と一縷の希望を抱き、中国語の老師にお伺いをたててみました。
本国では国語教師もしていた老師は、古典にも精通しています。

それでは、石秀ファンの皆さん、覚悟は宜しいですか。
石秀らしく、単刀直入に超訳いきます!

「命知らずの石秀兄貴、金のためなら死をも恐れぬ、食いしん坊の河豚みたいに、腹がパンパンになるまで詰め込むのさ」

石秀ファンの皆様に悲報でした……。

石秀さん、命を投げ出すのは、もっぱら“お宝”のためのようです。
河豚は、カワイルカの意味もありますが、文意的にフグです。
中国では、お腹がパンパンにふくらんだ河豚は食いしん坊の代表だそうですよ。
宋代の江南地方では河豚のお刺身を食べていたようですから、馴染みのある魚だったんでしょうね。
毒もありますし……ということで、“命知らずの食いしん坊”石秀兄貴を、これからも宜しくお願いします!

雄さん……!



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  我々は決して負けない!! All Men Are Brothers          梁山泊一同

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by suiko108blog | 2015-07-17 00:00 | Suiko108 クロニクル | Comments(4)
Commented by しろうさ at 2015-07-17 06:11 x
朝から笑わせていただきました!
雄さん秀さんは私の中では「愚兄賢弟…」(原典基準です。絵巻の雄さんはカッコイイです)ですし、秀さんは「天『慧』星」でけっこういい感じの筈なのに…「河豚」でやっぱりずっこけてしまいました。せめてワニなら何とかなったような気がしますが、どう見ても河豚…。
>これは、「好漢讃歌」ではないのではないか
好漢讃歌バージョンと、毒舌辛口バージョンがあって、やっぱりこき下ろすほうに人気が偏ったのでは(だからこそ残った)ないか…と信じたいです。
やはり文化や政治(大人の事情)により梁山泊の好漢は褒めてはならないという縛りが想像以上にあったのではないか…とか。
本当に水滸伝は謎が多くて面白いです!宋江三十六人賛シリーズも楽しみにしています!
Commented by suiko108blog at 2015-07-17 15:03
しろうささん
楽しんでもらえてよかったです!
他の超訳は合っているかどうか分かりませんが、今回は自信あります!
悪人だけどスゴイとか、かっこいい不良、とか、そんな感じだったんでしょうが……それにしても、ひどい悪口を言われている人も混じっているような。
これからは河豚を見るたび「石秀……」と呟いてしまいそうです。
残りの好漢もお楽しみに!
Commented by 雲海 at 2015-07-17 21:48 x
こんばんわ~。
ありゃりゃ、命知らずの兄貴になんという讃(?)が・・・。
今回はなんとなく文字の意味で解ってしまい口が開いてしまいましたねぇ・・・。
残りも好漢も4人になりましたねぇ~。
次回も愉しみ(?)に待っております。
Commented by suiko108blog at 2015-07-17 23:15
雲海さん
こんばんは!
台風は大丈夫だったでしょうか?
石秀……反対に楊雄はすごく褒められていたし、本当に、どこでああいうことになったんでしょう。
何かと話題を提供してくれる義兄弟ですね。
残りは、解宝、晁蓋、徐寧、李応ですね。お楽しみに!


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