『絵巻水滸伝 第8巻〜替天行道 』ハイライト(25)
その瞬間、風が凪いだかに思われた。
梁山泊軍と曽頭市軍は距離をとり、川を挟んで対峙した。あくまで晴れた空の下、曽頭市軍の陣頭に七人の将が進み出る。
欧鵬が、皆にその名を教えた。母親が全部違うという“曽家の五虎”は、その容貌もまるで異なっていた。
長男の曽塗は鷲のような鋭い目と鼻を持ち、長槍を携えた男だ。次男、曽密は書生の容貌で手には鉄扇。独眼の三男、曽索は使い込まれた鎖鎌を腰に挿していた。ひときわ目立つ、“黄鼠狼”と呼ばるれ四男の曽魁は肥満した巨体で、自分の頭ほどもある鉄錘を弄んでいた。末子の曽昇はまだ少年で、武術師範の蘇定に伴われてやや下がった位置にいた。青石を嵌め込んだ華麗な甲冑に身を包み、弓と矢を鞍にかけている。しかし、この少年ですら、すでに眼差しに精悍な猛虎の片鱗を見せていた。
そして、もう一人の男──その男の名だけは、聞かずとも晁蓋は知っていた。
(──史文恭)
(『第58回 征途』より)
『絵巻水滸伝/ 第115回「幻・後篇」』公開中!(
キノトロープ/絵巻水滸伝)
我々は決して負けない!! All Men Are Brothers 梁山泊一同
被害に遇われた皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。被災地の復興をお祈り致します。
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