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2014年 11月 13日
『宋江三十六人賛』(21)
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   “小旋風”柴進


北宋時代、梁山泊に集まった好漢たちの物語は、はじめから今の「水滸伝」の形をとっていたわけではありません。
『宋江三十六人賛』は、『水滸伝』の誕生に先駆けて、南宋時代(1127~1279)に書かれた宋江ら三十六人の仲間を讃える文章です。
もともとは画がついた“画賛”でしたが、画は散逸して、今では文章だけが残っています。

古文ですし、当時の世相を色濃く反映しているので、訳すのは大変に難しいです。
分からない言葉もたくさんありますが、なんとか頑張って読んでいってみましょう。
南宋時代の梁山泊にはどんなメンバーがいたのか、そして、彼らはどのような人物としてイメージされていたのでしょう。

※訳文はあくまで素人の推測・想像ですので、多少とも合っているのかどうか、まったく分かりません。
皆さんのご意見、識者のご教授をお待ちしています!

   “小旋風”柴進

  風有大小(風に大小あり)

  黒悪則惧(黒悪しくして則ち惧れる)

  一噫之微(一噫之微)

  香満太虚(香は太虚に満つ)



「風に大小あり 黒悪しくして則ち惧れる 一噫之微 香は太虚に満つ」

梁山泊第十位“小旋風”柴進がようやく登場です。
あだ名は同じ“小旋風”、ですが、後周世宗の末裔、滄州の大地主、梁山泊きっての風流人である柴大官人……
どうもその面影はないようです。
しかも、梁山泊きっての暴れ者“黒旋風”李逵の相棒だったのでしょうか?
『水滸伝』では、柴進はあまり李逵のことが好きではない、というか、だいぶ迷惑をかけられていたような……?
二人の過去に一体なにがあったのでしょう。

噫とは、胸が詰まって嘆く、溜め息のこと。太虚とは宇宙のことです。


文章の意味をSUIKO108的に超解釈(?)してみると、


「風には大と小があり、恐ろしいのには黒いのと悪いのがいる。つまり“黒旋風”李逵と“小旋風”柴進だ。「ああ!」と叫ぶ誰かの悲鳴が聞こえれば、たちまち魂はあの世に吹っ飛び、弔いの線香の煙が天地に満ちる」

想像をたくましくすると、こんな感じでしょうか。
柴進は“大宋宣和遺事”でも“黒旋風”李逵のすぐ後に登場します。
柴進様、もとは李逵とコンビを組んで悪行三昧……世間では“小李逵”のように恐れられていたのでしょうか。
“小旋風”のあだ名の意味は水滸伝にも説明がなく、由来が「謎」とされていますが、そういえば李逵が柴進の屋敷に寄宿したり、一緒に高唐州に出掛けたりと、対照的な人物のわりには縁のある二人です。
李逵と柴進は、もともとコンビの悪党だったのが、たまたま柴進の姓が後周世宗と同じ「柴」だったため、大出世を遂げたのかもしれません。だとしたら……柴進のために、ちょっと内緒にしておきたい話ですね。


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  我々は決して負けない!! All Men Are Brothers          梁山泊一同

被害に遇われた皆さまに、心よりお見舞い申しあげます。被災地の復興をお祈り致します。

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by suiko108blog | 2014-11-13 00:00 | Suiko108 クロニクル | Comments(0)


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