『絵巻水滸伝 第7巻〜軍神独歌行』ハイライト(18)

呼延灼は不思議な思いにとらわれて、暫くその姿を眺めていた。そのうちに雲が切れ、日が射してきた。雨は降り続けているが、空はしだいに明けていく。やがて、金色の曙光が雨をついて射し初めた。
呼延灼は、ふと、こんな景色をどこかで見たことがあると思った。
(いや、そんなはずはない)

金色の雨の中を、僧はどんどん近づいてくる。そして、路傍に佇む呼延灼を認めると、胸の前で片手で拝んだ。その目が、ひどく明るかった。
「御坊」
呼延灼は思わず声をかけていた。
絵巻水滸伝(第7巻)(第五十二回 青州の賊より)