『絵巻水滸伝 第6巻〜祝家荘風雲』ハイライト(5)
花栄は陣頭に立ち、朝風の中に槍を掲げた。昨日の戦いで鈍った刃は、河原の石で研ぎあげてある。苦肉の策だが、光り具合は悪くない。花栄は朝露を帯びた槍を大きく振るった。そして、梁山泊に置いてきた家族のことを思ったが、その面影はすぐに消えた。
(まあ──いい)
たとえ自分がいなくても、どうにか生きていくだろう。
「奴らめ、背水の陣を知らないらしいな」
花栄は朝日の中で不敵に笑った。
「この“小李広”が教えてやろう!!」
絵巻水滸伝(第6巻)(第四十二回 戦火より)