『絵巻水滸伝 第4巻〜清風鎮謀叛』ハイライト(13)
「何者だ!!」
茫々と広がる水、金色の波、沈んでいく太陽が染め上げる空。夕映えに輝く漣の上に船が浮かび、蛇矛を手にした白衣の男が立っていた。

花栄は森を駆け抜け、波打ち際に馬を進めた。
「我々は官軍ではない」
花栄は叫んだ。
白衣の男の目は、秦明や黄信ら官軍の甲冑をつけた隊に注がれている。その後ろには、朴刀を担いだ赤毛の男が一行の様子を窺っている。二人の乗る小舟の後ろ、葦原の中の水路には、兵隊を満載した船が十隻ほども並んでいた。
「梁山泊の方々か」
絵巻水滸伝(第4巻)(第三十三回 風濤より)