『絵巻水滸伝 第4巻〜清風鎮謀叛』ハイライト(5)
「化け物だ……!!」

象のような太い脚。みっしりと剛毛の生えた巨体と、らんらんと輝く眸。漆黒のたてがみは逆立って、頸を振るたび炎のようにざわめいた。そして、その馬とも思えぬ馬の上に、さらに巨大な漢が、刺だらけの武器を担いで跨がっていた。“狼牙棒”──柄の先の鉄球に鋭利な刺を植えた武器は、刺で敵を切り裂き、鉄球で叩き潰す。水牛を引き倒すほどの膂力と、熟練を要する必殺の武器だ。
この恐るべき武器を自在に操れるような男は、青州広しいとえども一人しかない。

「“霹靂火”秦明!!」
絵巻水滸伝(第4巻)(第三十回 霹靂火より)