「そら、あそこに松明が見えます。きっとあれです、馬泥棒は」
指さす方には、確かに二つ、三つ赤い光が揺れていた。夜の静寂をついて、男のだみ声も聞こえてきた。
「“騅”を手に入れた!! 次は“虞”だ!!」
男はご機嫌で喚いている。
“騅”とは覇王・項羽の愛馬、“虞”とは、その寵愛した美姫、虞美人のことである。
「これで俺も大覇王!!」
唱和する手下たちの大歓声が響き渡った。
「野郎ども!! 宴会だ!! 準備をしておけ!!」
亭主は、やっぱり、と呟いた。
「旦那、あれが桃花山の二の頭領、“小覇王”の周通ですよ」
第四問の答えは
“小覇王”周通でした!
(「絵巻水滸伝・第7巻・52回『青州の賊』」)
※あだ名を覚えていれば簡単でしたね。地サツ星の好漢たちにも、味のあるセリフがたくさんありますよ。
「絵巻水滸伝」(第二部)連載中!(
キノトロープ/絵巻水滸伝)