★情報を探知し、来客を応接する酒店頭領
梁山泊は、湖の東西南北で酒店を経営しています。初期は、南方の李家道の筋にある朱貴の酒店だけでしたが、梁山泊の規模が大きくなるとともに四店に増加されました。この酒店では、通常の居酒屋のように宿と酒食を提供するほか、周囲を通過する“獲物”や討伐軍の情報を掴む重要な役割を担っています。また、梁山泊に入山を希望する者は、まず“旱地忽律”朱貴の眼鏡にかなわなければなりませんでした。朱貴を頭とする梁山泊酒店グループは、梁山泊と世間を繋ぐ窓口とも云えるでしょう。
李応が経営する“店”も、この四山の酒店の役割を全国に拡大したものですが、“店”は賭場や金貸し、闇塩や密造酒の販売など経済活動が主な仕事で、情報網であると同時に梁山泊の財政を賄うために重要な役割を果しています。
89★地全星“鬼臉児”杜興
(ちぜんせい きれんじ とこう)
南山酒店の番頭。恐ろしくいかつい顔で、あだ名は“鬼臉児”──「おばけ顔」。もとは商人だが、棒術や拳法の心得もある。かつて商売で薊州へ行ったおり、かっとなって商売仲間を殴り殺し、牢に繋がれていたところを、牢役人時代の“病関索”楊雄に救われた。その後、独竜岡にある李応の屋敷に流れ着き、執事として非常に信任されていた。
顔は恐いが、よく気がきき、人付き合いもそつがないので、居酒屋の仕事には適任である。また、多才な杜興は戦での活躍もめざましく、李応から飛刀の手ほどきを受け、また凌振の助手として火砲を扱うこともある。
「絵巻水滸伝」(第二部)連載中!(
キノトロープ/絵巻水滸伝)