★情報を探知し、来客を応接する酒店頭領
梁山泊は、湖の東西南北で酒店を経営しています。初期は、南方の李家道の筋にある朱貴の酒店だけでしたが、梁山泊の規模が大きくなるとともに四店に増加されました。この酒店では、通常の居酒屋のように宿と酒食を提供するほか、周囲を通過する“獲物”や討伐軍の情報を掴む重要な役割を担っています。また、梁山泊に入山を希望する者は、まず“旱地忽律”朱貴の眼鏡にかなわなければなりませんでした。朱貴を頭とする梁山泊酒店グループは、梁山泊と世間を繋ぐ窓口とも云えるでしょう。
李応が経営する“店”も、この四山の酒店の役割を全国に拡大したものですが、“店”は賭場や金貸し、闇塩や密造酒の販売など経済活動が主な仕事で、情報網であると同時に梁山泊の財政を賄うために重要な役割を果しています。
92★地囚星“旱地忽律”朱貴
(ちしゅうせい かんちこつりつ しゅき)
南山酒店の主人。沂州の生まれで、“笑面虎”朱富の兄。あだ名は“旱地忽律”──「枯れ地のわに」。梁山泊にある酒店の中では一番の古株で、朱貴自身も梁山泊最古参の幹部のひとり。“白衣秀士”王倫、“托塔天王”晁蓋、“及時雨”宋江と三人の首領の時代を経験している。
もとは商人だが、元手をすって王倫時代の梁山泊に身を投じ、李家道の口で居酒屋を営みながら、往来する旅人の金品を物色したり、情報収集を行っていた。入山を希望するものは必ずこの居酒屋を通さなければならず、朱貴が問題ないと見た人物だけが梁山泊に入ることを許された。梁山泊居酒屋グループの重鎮であり、梁山泊の“眼”とも云われる朱貴は、梁山泊にとって欠くことのできない男である。
「絵巻水滸伝」(第二部)連載中!(
キノトロープ/絵巻水滸伝)