★情報を探知し、来客を応接する酒店頭領
梁山泊は、湖の東西南北で酒店を経営しています。初期は、南方の李家道の筋にある朱貴の酒店だけでしたが、梁山泊の規模が大きくなるとともに四店に増加されました。この酒店では、通常の居酒屋のように宿と酒食を提供するほか、周囲を通過する“獲物”や討伐軍の情報を掴む重要な役割を担っています。また、梁山泊に入山を希望する者は、まず“旱地忽律”朱貴の眼鏡にかなわなければなりませんでした。朱貴を頭とする梁山泊酒店グループは、梁山泊と世間を繋ぐ窓口とも云えるでしょう。
李応が経営する“店”も、この四山の酒店の役割を全国に拡大したものですが、“店”は賭場や金貸し、闇塩や密造酒の販売など経済活動が主な仕事で、情報網であると同時に梁山泊の財政を賄うために重要な役割を果しています。
102★地刑星“菜園子”張青
(ちけいせい さいえんし ちょうせい)
103★地壮星“母夜叉”孫二娘
(ちそうせい ぼやしゃ そんじじょう)
西山の主人夫婦。張青はあだ名はを“菜園子”。もとは寺で菜園の番人をしていたが、いざこざから僧侶を殺して追剥となった。孫二娘はあだ名をは“母夜叉”──「女夜叉」。追剥の父親から武芸を仕込まれた女丈夫で、眼光鋭く、武松を軽々と持ち上げるほどの怪力である。張清がお尋ね者となった時、追剥しようと襲ったのが孫二娘の父親であり、張青は却ってその老人に逆に天秤棒で叩きのめされてしまう。ただの年寄りと思ったのは、年季の入った先輩──“古夜叉”だったのである。老人は張青を見込んで仕込み直すと、娘の孫二娘の婿に迎えた。
以来、夫婦は孟州道の峠にある十字坡に居酒屋を構え、表向きは酒を売ったり旅人を泊めたりしていたが、実は金持ちそうな旅人は痺れ薬で盛りつぶして荷物を奪い、太っていれば饅頭の具にしてしまうという物騒な稼業をしていた。もっとも、肉饅頭のほうは孫二娘の専門で、魯智深や武松もあやうく盛りつぶされるところだった。
張青は婿養子ということでやや影が薄いが、長年、孫二娘の夫を務めているだけあり、なかなか肝の座った男である。
「絵巻水滸伝」(第二部)連載中!(
キノトロープ/絵巻水滸伝)