『絵巻水滸伝』第二部も連載再開から既に一年が経ちました。梁山泊と官軍の戦いもいよいよ大詰めです。
現在、『絵巻水滸伝』第一部全十巻が、魁星出版から発売中です。ネットに掲載されたイラストを含め、描き下ろしも多数収録、各巻それぞれ200点以上の挿絵がオールカラーで掲載されています。テキスト、イラストとも、可能な限りの加筆・訂正を行いました。
その若者は、名を〝武松〟と云った。
あだ名は未だ、ない。
〝及時雨〟宋江との邂逅によって、又ひとつ、星が目覚める。
一双の眼光、星のごとく、
両彎の眉、あたかも漆を刷きたるがごとし。
心雄胆大にして、萬夫も敵し難きの威風あり。
後に〝打虎行者〟の異名を馳せることになる快男児も、
いまだ一介の無頼にすぎない。
武松よ、怒れ!
武松よ、走れ!
数ある水滸伝故事のなかでも、異色の〝武十回〟。