絵巻水滸伝には強面の豪傑たちが次々と登場し、縦横無尽に活躍しますが、彼らが連れている可愛い動物たちも負けてはいません。中でも、最も出番が多く、なおかつ好漢顔負けの大活躍をしているのが、“鼓上蚤”時遷の連れている子鼠──“ネズ公”でしょう。
このネズ公のモデルも、森下家のねずみ。正体はジャンガリアン・ハムスターです。縁日で買われて来た、やぶれ耳のネズ公は、おっとりとした、おとなしい性格でした。夕飯時になると小屋から出てきて立ち上がり、じっと何かおいしいものが貰えるのを待っていたものです。そして、ある寒い日、やはり静かに、眠ったまま冷た くなっていました。
もう何年も前のことですが、今も本の中で元気で可愛い姿が見られるのは、本当に嬉しいですね。