『絵巻水滸伝 第10巻〜結集百八星 』ハイライト(41)
董平が馬を躍らせた。
董平は、張清が礫を放つのを見た。
“没羽箭”張清の投石術のことは聞いている。しかし、実際にその技を見るのは初めてだった。董平は右の槍を払って防いだ。その時には、すでに張清は左手で次の礫を投げていた。
張清の礫の恐ろしさは、この二投目にある。
一投目をかわす者はいても、二投目をかわした者はかつてなかった。左右の手から間髪を入れずに投擲された礫を防ぐには、体勢を立て直す暇がないのだ。張清の利き腕は実はこの左手である。二投目のほうが捷く、鋭い。董平の顔面へ礫が迫った。
(『第70回 結集百八星』より)
『絵巻水滸伝/「第126回 憤怒ノ江、慟哭ノ嶮・前篇』公開中!(
キノトロープ/絵巻水滸伝)