『絵巻水滸伝 第10巻〜結集百八星 』ハイライト(36)
(俺に触れることはできない──近づいた時には、お前は死んでいる)
項充が飛刀は構えた。その時、丁得孫が短扠を持つ腕を大きく振りかぶった。
(投げるのか!!)
丁得孫は一本の武器しか持っていない。それを投げれば、もう武器はない。飛刀を使う項充は、丁得孫が唯一の武器を投げるなど思ってもいなかった。
丁得孫が得意とするのは、短扠ではなく飛扠だったのである。飛刀に比べ、飛扠の飛距離は長い。
(──不覚)
項充は丁得孫の飛扠を左足に受けて馬から落ちた。