2011年 02月 08日
『絵巻水滸伝』ハイライト(109)
『絵巻水滸伝 第7巻〜軍神独歌行』ハイライト(21)

 呼延灼は、目を疑った。二竜山の軍勢が現れたことに──ではない。彼の目は、鋼鉄の禅杖を風車のように振り回す、巨漢の僧侶に釘付けになっていた。その顔を知っていた。失意の朝、金色の雨の中で擦れ違った僧侶の顔だ。一生忘れまいと思っていた、顔だった。
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 あの時、呼延灼は救われた。天に道を示されたと──そう信じた。
 それなのに、同じ顔が今、敵として、賊して、眼前にいた。
 魯智深もそれに気がついた。
 魯智深は少しだけ目を見開いてから、にやりと笑った。
 もはや銅鞭と禅杖は、火花を散らす以外になかった。裂帛の気合とともに、二人の体はぶつかり合った。
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絵巻水滸伝(第7巻)(第五十三回 軍神独歌行より)
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by suiko108blog | 2011-02-08 00:02 | 絵巻水滸伝のススメ | Comments(0)


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