『絵巻水滸伝 第6巻〜祝家荘風雲』ハイライト(16)
滄州知府に取り入ろうとして坊やを甘やかす者もいたが、朱仝の子供を見るまなざしは、知府自身と同じ、愛情に満ちた父親のものだった。この男は信頼できる──と、知府は改めて確信した。
「これからも、坊やが遊びたがったら、相手をしてやってくれ」
知府はそう言って、朱仝に役所の一室を与えた。その日から、朱仝は毎日のように坊やを連れて散歩に出たり、さまざまな遊びの相手になってやった。坊やは喜び、また、朱仝にとってもそれは楽しい仕事だった。
絵巻水滸伝(第6巻)(第四十六回 美髯公より)