『絵巻水滸伝 第5巻〜天魁星受難』ハイライト(14)
楊雄の顔色が、ついに死人のごとく蒼ざめた。その瞬間、手が腰の刀に走った。鞘走った刃が一閃し、張保の首が宙に舞う──戴宗は息を飲んだ。
しかし、張保の脳天に炸裂したのは、刀ではなく、一本の薪だった。どこからか飛んできた薪が、楊雄の刀より早く張保の頭を直撃した。
「だ、誰だ!!」
頭を抑えた張保の手に、べったりと血がついていた。
「俺さ」
通りの真ん中に、薪を背負った若者が立っていた。
「よくないぜ、乱暴は」
さくさくと砂塵を踏んで、若者は真っ直ぐに歩いてくる。
「誰だ、てめえは!!」
「薪売りだよ。見りゃ分かるだろう」
絵巻水滸伝(第5巻)(第三十九回 病関索より)