2010年 07月 03日
『絵巻水滸伝』ハイライト(38)
『絵巻水滸伝 第4巻〜清風鎮謀叛』ハイライト(2)

「それもあなたのよ、武松さん。この戒刀は、雄刀と雌刀で一対なの」
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 武松は左右の手に一振りずつの刀を握り、何かを確かめるように握りしめた。
 微かに震える二つの柄が、武松の掌の中で再会の歓喜に身をよじるように軋んでいる。振動は次第に高まる。それを武松は全身で受け止めた。
 やがて、鍔鳴りは、最も大きな波動を最後に、ぴたりと止まった。
 もう何も感じなかった。
 ただ、懐かしいものに再会したような、静かに満ち足りた感触だけが、武松の掌に残されていた。


絵巻水滸伝(第4巻)(第二十七回 二竜山より)
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by suiko108blog | 2010-07-03 01:10 | 絵巻水滸伝のススメ | Comments(0)


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